リビング

目の前の情景。
見慣れた人物達が、工場の丁度中心辺りに集まっていた。
ある者はガムをくっちゃくっちゃと音を鳴らし噛んでいる。
ある者はコンクリートで固められた冷たい地面に、中途半端なしゃがみを効かせて携帯をいじっている。

またある者はタバコを吹かし、その前にいるまた見慣れた人物が同じくタバコを吸い、会話している。
見慣れたこの二人の会話の内容は大体想像がついた。どうせ録な話しではない。


かと思うとその後ろで山積みにされた木箱に座り、左手で手鏡を持ち、右手でマスカラを器用に使いメイクに没頭している者もいた。


そして慎吾の到着に気付いた者も当然いた。

「……!冴中!?」

真っ先に気付いたのは、慎吾と同じ学校に通う三年生、内山 香だった。