リビング

嫌な汗が背中に流れた。心臓の鼓動も自然と早くなる。
携帯を握りしめ、微塵も動かず真っ直ぐ携帯の画面を見つめる慎吾の姿は、明らかに変だった。
野良犬も何事かと立ち止まり眺めている。


犬なんてどうでもいい…。一体何なんだ!?久しぶりにメールがきたと思ったら…こんなわけのわからない内容……。


違う、内容の意味はわかっている。町外れにある廃工場へ行けばいいんだ…。
でもどうして?何の為にっ?


慎吾は顔面蒼白だった。手に汗を握り、じっとメールの真意を考える。
電車の音が辺りを震わす。慎吾の耳には聞こえない。


こんなメールじゃ…謝罪の言葉一つ送れないじゃないかっ!!!


「くそっ!!!」

慎吾はいつもより早くメールの文章を打った。


『どうした?何かあったのか?』

送信ボタンを押すや否や、自宅とは全く正反対の方向へ走り出した。