リビング

「そうだな…。宗太にとって今日は、最悪な一日だったかもしれないな」

仁はまだ青い空を見上げてそう言った。


「お前は知らないと思うけど、俺は今日何回も目撃したんだ。あいつが…ぼろぼろになるまでいじめられていた現場を」

慎吾は俯いて手のひらで顔を覆った。

他人の事でそれだけ悩んでしまう慎吾は、きっと何処かで必ず後悔するだろう。
仁はそんな気がしてならなかった。


「慎吾、仕方ないんだよ。」

だから仁は慎吾にあえてこう言った。

「どれだけお前が悩んでも、宗太は報われない」


その時、慎吾の瞳に涙が見えた。

言いすぎたか…。

仁は慎吾に謝罪の意を込めて、軽く肩に手を置いた。
そしてそのまま、校庭を去って行った。