労働の価値 その2

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「新しい意味」が生まれている。

上着は、
ひとが「縫う」作業をした、
その苦労が固まったものだ。

そのとき上着には価値が「とじ込められている」。

しかしいくら上着を見回してみても、
そのことが「見てわかる」わけではない。

そういう「見ているだけではわからない」価値で、
上着は布と比べられている。

もちろん上着は、
上着になったあとも、
布から作られたということが、
見てわかる。

しかしそういう「布っぽいもの」ということだけなら、
「価値をあらわす」ことはできない。

上着は「上着という使う価値」をもったものだからこそ、
価値をあらわすことができるのだ。