労働の価値 その2

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布職人は、
布を売って聖書を買っても、
またそのあとで布を売れば、
男の手もとに、
おかねが帰ってくるだろう。

しかしこのおかねは、
1本目の布とは、
関係がない。

1本目の布は流れていって、
そのせいでおかねは、
男の手から聖書売りの手のなかへ、
のがれ去っていったのだ。

同じような商品の流れを、
あらためてもう一度くりかえすと、
おかねは手もとに戻ってくる。

しかしそれは、
新しく流した商品のかわりなのだ。

だから、
この商品も流しきってしまったら、
前の商品と同じように、
やはりのがれ去ってしまうだろう。

だから、
おかねは、
つねに遠ざかる。

商品を流すと、
おかねは運動をはじめるが、
それはいつも、
スタートから遠ざかる。

これが、
おかねの「行く道」だ。

ひとりの商品の持ち主から、
べつの持ち主のもとへと向かう、
道なのだ。

これがおかねの受け渡し、
流れていくさまだ。