とはいえ、本人がいないのでは根拠のない憶測に終始するだけだ。

 それに、話している間はシオンの筆が止まってしまう。

「さあ、そろそろデッサンは出来上がりましたか?」
 如月先生の声に、シオンは慌てて仕上げにかかる。
 その後、無言のままシオンは筆を走らせた。

 時折俺に向ける視線は、やはり何かしら含みがあるように感じられた。

 何だろう、俺はもどかしい違和感にとらわれていた。