意にそぐわない仕事でもこなす親父のことだ、今回の異動にも不平は言わなかっただろう。

 何でも腹に溜め込む性格で気苦労が多いせいなのか、50過ぎの若さで頭はほぼ真っ白だ。

 俺も、歳とったらこうなるんかな。

「なんせ、世代違いすぎて話題合わん。間ぁ持たすんも一苦労や」
   そう言う親父の顔は、しかしちっとも困っているようには見えない。

 何事にも楽しみを見つける特技を持ってる親父だ。すぐに馴染むことだろう。