掻きむしり

…そうだ。

もうすぐここは紅に染まる。

早く行かないと…!

俺は駆け出す。後ろを振り向かずに、まるでオルペウスの様に出口を目指す。
出口に続く最後の扉に近付くにつれ隙間から光が見え隠れする。遂に、出口の扉に手がかかった!

「よし!」

思わず声を上げた。重く閉まっている扉の向こうには光が、光がある!
そして、扉が錆び付いた音を鳴らし始めた…。