「藤岡くんそこ右……あ、ここ」
数分歩いて、あたしたちはひとつのオシャレな外観のカフェについた。
ブラインドがさがっていて中は見えないけど。
今日もヒマしてるんだろうな、うん。
扉をゆっくり開けると、チリン、とベルが鳴る。
「いらっしゃいませー」という声と共に、男のひとが現れた。
「……あ、なんだ絢ちゃんか」
そして、あたしの顔を見て、営業用であったろう笑顔を崩す。
「なんだってなんですかー」
「やー? だってせっかくお客さん来たと思ったら絢ちゃんだったんだよ? わかる? この気持ち」
ため息をひとつ吐いて、目の前の男のひとは小首をかしげた。


