「悪ぃ」 そう言って藤岡くんはあたしを離した。 ナンパを逃れるための手段ってわかってるのに。 動悸が以上に速い。 藤岡くんが触れた肩が熱い。 ど、ど、どうしよう!! 「おい」 「は、はいっ」 あたしを見下ろす藤岡くんと目があった。 訝しげにあたしを見ている。 なにか変なところでもあったのかと心配になった時、藤岡くんの口がひらいた。 「……顔、ちがくねぇ?」 顔をしかめたままつぶやくように言う。 ……そんなに……顔、ちがいますか。