待ちあわせ場所の駅前に着くと、藤岡くんはもうすでにいた。
……女のひと2人にかこまれて。
いやまあ、あたしが5分遅れちゃったからなんだろうけどさ……。
近づくと、会話が聞こえる。
「高校生? かっこいーねー」
「名前はー?」
あぁ……そうですよねかっこいいですよね。
藤岡くんは女の人たちを完全ムシ。
目線すらあわせない。
「ちょっと聞いてますぅ?」
女の人のひとりが、藤岡くんの肩に触れた。
それだけであたしは少し嫌な気分になる。
自分が独占欲強いってことに、最近気づいた。
少しずつ近づいていくと、藤岡くんの切れ長の目があたしを捕らえた。
手をこまねいて、こっちこいジェスチャー。
あたしは急いで藤岡くんのもとへ駆け寄った。


