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「……おっきー」
「……でかっ」
放課後。
只今、右京さんの家の前。
……とても大きいです。
ふつうの外観だけど、なぜか周りの家なんかメじゃないくらい大きいんです。
「な、なんでオマエん家こんなにでけぇわけ」
翼が目の前の一軒家を指差しながら聞くと、
「だって金持ちだもん」
って、さらっと答えた右京さん。
毎月「金ない金ない」って言ってる翼には魅力的だろうなぁ。
右京さんが玄関をあけてくれて、中にはいると、やっぱりキレイだった。
感動しながら靴をぬぐ。
「翼ちゃん、今度俺らもデートしよっかー」
2階へと続く階段を登っている途中、右京さんが翼に言った。
「はぁ? なんであたしがオマエと」
「ぜーんぶ俺のおごりで。好きなものたくさん食べていいから」
その言葉に、翼は押し黙った。
少し考えているようで、なにかぶつぶつと呟いている。
……「ステーキ」「イタ飯」……。
あたしは薄い肩に手をおく。
「……翼、行ってきなよ」
「……行かねえよ」
唇をなめながら翼が答えた。
とか言って、その様子だとたぶん行くんだろうなー。


