こらえていた涙が一気にあふれる。

喉がふるえて、押し殺した嗚咽が洩れた。




「藤岡く……ッふぇ……」




突然来て、突然泣き始めるあたしを藤岡くんは何も聞かずに抱きしめ返してくれる。

ポンとなだめるように背中をたたかれて、もっと涙があふれた。




「あたし……っ篁くんのこと、傷つけ、たの……ッ」




“篁くん”という名前に藤岡くんの手が止まる。




「気持ち、返せなかったのに……あたしは悪くない、って、笑って……くれたの……っ」




藤岡くんの首に回した腕に力がはいる。

流した涙が、藤岡くんの肩を濡らす。





「これからも友達だって、約束したけど……あたし……ッ」





――自然に笑えるか、わからないよ。





そう言いかけた瞬間、両肩をつかまれて、藤岡くんから引き剥がされた。