オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~






「……なんで俺じゃねえの?」





篁くんの本音を聞いてしまった。




「奪ってやる」なんて笑って言ってた裏側で、「なんで」って気持ちのほうが大きかったんだ。

あたしのこと信じて、また会いに来てくれたのに。




なのに、あたしは。





「こんなんなるんだったら……あの日、奪っとけばよかった。

ムリヤリにでも心ごと、絢のぜんぶ手に入れとけばよかった」





少し震えた声が、耳元で響く。





「欲しい」





丁寧に、注ぎ込むように。





「欲しい」





鼓膜まで通り越して、脳に直接訴えるように。





「欲しい……絢」






――ごめんなさい。





まっすぐに伝えてくれる気持ちに、




あたしは応えられない。