「篁くん変わったね……」
「へ? なんでや。何が?」
「だって芸能界なんて別世界の住人さんだし、それでいて人気者だし、関西弁だし、なんだか性格も……昔と違うもん」
あたしは全然変わったことなんてないから、少しさみしいし、くやしい。
そうやって唇尖らせながら指折り数えて見せると、篁くんはぐしゃぐしゃとあたしの髪の毛を両手で荒らす。
突然の行動にあたしが慌ててると、篁くんが晴れやかに笑う。
「絢はめっちゃ可愛なったし!! 抱きしめたいくらいかわええ!!」
「却下失せろ」
「……斎に聞いとらへんのにー、なあ? 絢」
「や、遠慮します!!」
「うわ全身全霊で拒否られとる俺!!」
「なんでやー!!」なんて頭かかえる篁くんをあたしが笑ってると、強く手を引っ張られた。
見上げると、あたしの手首をにぎり見下ろす藤岡くんの長身。


