『いいですか?
この偽装婚約は、次期社長が考えられたことです。
次期社長は沙羅様と同い年、17歳です。
ですが、遊馬家では18歳で婚約者を決めなければならないという決まりがございます。
もし、18歳の誕生日に婚約者がいなければ、次期社長はご両親に相手を決められてしまいます。
それだけはどうしても避けたいのです、はるや様は。』
「はるや…??」
誰だろう。はるや、って。
『晴弥様は次期社長…沙羅様の偽装婚約の相手でございます』
ってことは…このアホみたいな迷惑きまわりないことを考えたのはその晴弥ってヤツなんだ。
会ったら絶対、懲らしめてやるんだから!
「で、結局なんであたしが言葉遣いを直さなきゃならないんですか?」
1つ咳払いすると森本はまた話を再開させた。
『この偽装婚約はあくまでも、偽装です。
だから本当に婚約するワケではありません。
ですが、婚約披露なんかはやります。
これはカタチです。
晴弥様のご両親に納得してもらうためです。
そしてコトが落ち着いたとき、婚約解消する。
それで沙羅様のお仕事は終了になります。
ご両親にはとことん、沙羅様が晴弥様の婚約者だと信じていただきます。
そのためにも沙羅様は晴弥様のご両親に気に入ってもらわなければなりません。
なので、言葉遣い、マナーなどはきっちり勉強していただきます』
いや、意味わかんないからね、それ。
だいたいそんな一気に喋られても理解できないんだけど…
ただでさえ、異次元のような話で理解できないのに。