偽装婚約~秘密の契約~







『行ってらっしゃいませ』


森本がドアを開ける。

晴弥はあたしのほうを向くことなく、スタスタと1人で歩いていく。



はぁ…

と、溜め息をつき歩き出すあたし。


ってか…教室の場所、イマイチ把握しきれてないんですけど。


ほぼ絶望的なあたしの肩に誰かが触れた。



「…鬼灯沙羅…だったっけ?」


「…え?」


振り向くとショートカットのいかにも活発そうな女の子があたしの肩に触れていた。



「一応、うち同じクラスなんだけど?」


知ってる?と目が聞いてくる。



「…………うん?」


ごめん。

まったく覚えてないや。


とも言えず苦笑いであやふやな返事を返す。



「そんな気ぃ~使わんでもいいのに~

ま、これから仲良くしてな!


うち、奈良 芽依(ナラ メイ)って言うんや!」