『いってらっしゃいませ』
あたしはシャワーをとりあえず長く浴びて、朝食を我慢した。
晴弥と顔を合わせるのは気まずくてイヤだったからだ。
『沙羅様』
晴弥はもう森本が待つ車へと歩き出している。
『朝食を食べずに行くのはお体によくないので、これ、どうぞ』
瑞季さんはそう言って紙袋をあたしに渡す。
「すみません。
ありがとうございます」
『いえ』
そう言って瑞季さんはニコッと笑った。
やっぱり…晴弥が瑞季さんなら良かった。
それなら自ら進んで偽装婚約に手を貸したかもしれない。
あ…でも、洋介と別れろ、って言うのはやっぱり…無理かも。
「愛情たっぷりの朝食ですよね」
そう聞くと瑞季さんは悪戯っ子のようにニヤッと笑う。
そして言った。
『ついでに勇気もプラスしておきました。
晴弥様と仲直りするための勇気です』


