偽装婚約~秘密の契約~






「じゃ、シャワー…浴びてきます」


制服を持って、部屋を出て行こうとする。


そうすると突然…



『………沙羅様』


瑞季さんに呼び止められる。



ゆっくり振り向くと、瑞季さんは真っ直ぐにあたしを見つめている。



『昨日の件について…一言だけ、申し上げてもよろしいでしょうか』


あたしはまた、視線を足下にやる。



『晴弥様は…決して偽装婚約のためにああ言っておられるワケではないのです』


え…?


「それ…どういう意味ですか?」



『すみません。

これ以上は申し上げられません。』


瑞季さんは頭を下げる。


あたしは首を傾げながらとりあえず、お風呂に向かった。



いったい、どういう意味なんだろう。


偽装婚約のためにああ言ってるワケじゃない、って。

他になんのために洋介と別れろ、なんて言うの…?



なんだかもう…分からない。


アイツが、何を企んでいるのかも

瑞季さんが、何を言いたいのかも

ジュウゴが…どうしたいのかも。


何も…分からないよ…