偽装婚約~秘密の契約~





「ちょ…晴弥!?」


なんで?

なんでいきなりそんなこと言うワケ…?


いや、いきなり…じゃないか。

だって今さっきまで洋介の話、してたんだもんね。


でも、だとしても、もっと真剣に言って欲しかった。


そんな簡単に言われたくなんて…なかった。




『瑞季、俺は1人でも大丈夫だから。

しばらくはそいつの世話を頼む。


それとしつけも頼んだぞ』



『かしこまりました』



晴弥は音をたててドアをしめた。


ちょっと待ってよ!

なんであたしの言葉にいっさい、耳をかさないワケ!?


しかもしつけ、って何!?



もう頭の中が大パニック。

ワケがわかんなくて。


いろんなことが頭の中でぐちゃぐちゃに混ざって。


どうしようもなくて。


ふっと足の力が抜けた。




『大丈夫ですか?沙羅様』