偽装婚約~秘密の契約~






『あ、そうだ。

紹介し忘れてたんだけど』


頭の中が混乱してるあたしを呼び止めたのは晴弥の声。


そして晴弥はパチンと指を鳴らした。


そうすると突然、ドアが開き



『お呼びでしょうか、晴弥様』


と、若い男の人が部屋に入ってきた。


正装で、晴弥に劣らずのイケメン。

誰ですか…あなたは。


なんて思いながら呆然と2人を見つめる。



『瑞季(ミズキ)、今日からコイツの世話も頼む。』


『かしこまりました』


瑞季と呼ばれた男の人はあたしに近づいて来る。


晴弥は素知らぬ顔で自室に戻っていく。




『初めまして。沙羅様。

これから身の回りのお世話をさせていただきます、瑞季と申します』


丁寧に頭をさげる瑞季さん。


ヤバイ…

もしかしたら晴弥以上にカッコイイかも。


なぜかドキドキと音を立て始める心臓。


そんなあたしのもとに届いた晴弥の声。

それは信じられないくらい残酷な一言だった。





『沙羅、お前の大好きな洋介とは別れろよ』