偽装婚約~秘密の契約~






『ん。分かった』


意外にもすんなりとした返事。



「…止めてくれないの?」

笑い混じりのあたしの言葉。



『ん?何?

止めて欲しかった?』


振り向いた要がニヤッと笑う。



「別に。そんなんじゃないよ」


本音を言えば、もう少しだけいろよ、なんて言葉…期待してたけどね。



『止めたところで出て行くんだろ?

沙羅はそういうヤツだって俺、知ってるし。


それに…』


「それに…?」


『沙羅、俺に隠し事するんだもん。

だからちょっと意地悪してみた』


隠し事?


「あたし、何も隠してないよ?」


要に隠してることと言えば…晴弥との契約の話くらい。

でも要がそれに気づくはずがない。



『へぇ~

そんなこと、言うんだ。


じゃあなんで俺がいない間に瑞季さんが来たこと、隠してるの?』


何も言い返せなかった。


どうして?

どうして家にいなかった要が瑞季さんが来たこと、知ってるの…?