偽装婚約~秘密の契約~






【コンコン】


夢の中にいるあたしを起こす物音。

目を開けると目の前には要がいて。



「レディーの部屋に勝手に入らないでもらえる?」


『うん、ごめん。

返事がないから生きてるかどうか心配で。』


要がそんなことを言うもんだから顔を見合わせて笑った。



『ただいま、沙羅。

なんか変わったことは?』



「………何も。

ずっとゴロゴロしてただけ」


瑞季さんのことは言わなかった。


別に言うほどのことでもないだろう。

それがあたしの判断。



『そっか。

じゃ、俺部屋戻るから。


いつでも内線かけていいからな』


「分かった」


じゃ、と言って片手をあげた要が部屋を出て行く。


「あ…要!」

思わず呼び止める。


そして勢いに任せ、言った。



「あたし、明日には出て行くから」