偽装婚約~秘密の契約~






「…お願いです、瑞季さん。

出て行ってください。


そして、もう2度とここには来ないでください」


瑞季さんの悲しそうな顔が視界に入る。

あたしは俯いてその顔を見ないようにした。



『………分かりました。

帰ります。


どうかお元気で、沙羅様。

帰りたくなったらいつでも帰って来てください。


私も、森本も、そして晴弥様もずっと、待っていますので。』



失礼します、と最後に言って瑞季さんは部屋を出て行った。


一気に気が抜けてベットに倒れ込んだ。



どうして瑞季さんはあんなことを言うんだろう。


『ずっと、待っていますので』


なんて。


そんなこと言われたって帰れないよ…

1度、裏切った家にノコノコと帰れるはずがないじゃない。


もうあたしの居場所はここしかないんだよ。

それも、ここはずっといられるところじゃない。



いつかは…ううん。もう、明日にでも出て行かなくちゃ。

そうじゃなきゃ、また要に迷惑かける。


そんなことを考えているとだんだん、瞼が重くなってきて。

寝てる場合じゃないことくらいは分かってる。


でも、いいじゃない。

この現実から逃げたいんだ。


あたしはこの苦しい状況とずっと闘ってられるほど、まだ強くないんだもん。