「あの…瑞季さん」
あたしは真っ直ぐ、瑞季さんを見つめる。
「もし、あたしを連れ戻そうと思って来たのなら、今すぐ帰ってください。
あたしは遊馬家に…晴弥の元に帰るつもりはありません。
だから…『沙羅様』
瑞季さんはいつもの表情で言う。
『私は沙羅様を連れ戻すために来たのではありません。
ただ、沙羅様が無事でいらっしゃるかどうか、それを確認しに来ただけです』
「え…?」
瑞季さんの言葉に少し残念がってるあたしがいて。
瑞季さんは迎えに来たワケじゃない。
それは悲しいことじゃなく、
むしろ嬉しいことなはずなのに。
あたしってば…どうかしてるんだろうか。
『晴弥様はとても、心配しておられます。
昨日、私が沙羅様がいなくなったことに気づき、晴弥様に申し上げると
真夜中だというのに晴弥様は自転車で沙羅様を捜しに出かけました。
だから、私は安否を確認しにきただけなのです』
「だったら……」
もう、聞きたくない。
そんな話。
「帰ってください。
あたしは元気ですから」
晴弥が探しに出かけてくれていた。
あたしを心配してくれてる。
それだけのことで喜んでるあたしがいるの。
認めたくないけど、
でもやっぱりあたしは晴弥が好きなんだ。
だから、もうこれ以上アイツの話は聞きたくない。
だって、忘れられなくなっちゃうでしょ、アイツのこと。


