あたしは自分の部屋を出てノックもなしに晴弥の部屋に入る。


案の定、



『勝手に部屋入んじゃねぇ』

と、晴弥に睨まれ部屋を追い出される。



『で、なんだよ?』

リビングの大きいソファに足を組んで座る晴弥。

なんか…画になってるし。


軽くムカつく。

と、思いながら


「携帯、圏外なんだけど!」

と、言った。



『あ、忘れてた』

晴弥はそう呟きポケットを探ると白い1台の携帯を取り出す。



『これ、新しい携帯。

その携帯、解約したからこっち使え』


何…言っちゃってるワケ?

解約したから、とかそんなフツーな顔して…言うか?


イライラが募る。


第一、解約したってことは番号変わるワケでしょ?

しかも前の携帯と機種が違うってことはメアドも変わる。


その連絡する手間…どうしてくれるワケ?


晴弥を思いきり睨む。

でもコイツは最高にめんどくさそうな顔で言った。



『お前の親が携帯代払える状況じゃないから解約して俺の家の名義で買ったんだ。

要らないならいいけど、お前…連絡したい奴、いんだろ?』