偽装婚約~秘密の契約~





そのまま、あずさとも芽依とも別れ、あたしは車へ向かう。



『遅いなぁ、沙羅』

ドアの向こうには晴弥がいて。


あたしはそんな晴弥の言葉を無視。


その代わりさっきの言葉を伝える。



「あずさが今日はごめんね、だって。」


自分でもビックリするほど冷たい声だった。

何イライラしてるんだろう、あたし。




『………あずさと話したのか』


「何?なんか都合の悪いことでもあった?」


あーっ!

もう!!


こんなつもりじゃないのに。

なぜかあたしはイライラしたままで。


自分が何にイライラして。

こんなふうになっているのかまったく分からなかった。



それから車内の会話はいっさいなし。

ま、それも仕方のないことだろう。


あたしのオーラがありえないくらいに黒かったんだから。




つくづく、自分の人生がイヤになる。


『一難去ってまた一難』

まさしくコレだ。


突然誘拐されて、

偽装婚約なんてワケの分からないことに巻き込まれて、

晴弥の両親にあって、

そして…今回の事件。


いつになったら落ち着けるのだろう。

そんなことを移り変わる景色を見ながら、ぼんやりと考えていた。