「み…瑞季さん。
着替えた…ん…ですけど…」
鏡の前に立った自分が自分じゃないようで。
『とてもお綺麗です、沙羅様。
そして、私がもっと綺麗にさせていただきます』
どこから持ってきたのか瑞季さんの手には化粧道具がいっぱい。
『すみません。
少々、目を閉じていただけますか?』
瑞季さんに言われたとおり、目を閉じる。
そうすると肌に感じる瑞季さんの指先。
なんだかものすごくドキドキして。
この家は、あたしの心臓を壊す気だろうか。
晴弥のあの、甘い声と言い、瑞季さんと言い。
こんなのを半年間、毎日なんて、絶対そのうち心臓が壊れる。
刺激的すぎるんだよ、この家は。
悔しいくらいに晴弥はカッコイイ。
それも自分をどう見せれば相手をドキドキさせられるか、知ってるようなヤツだ。
きっと、半年間毎日ドキドキされて、からかわれて。
あたしはアイツを前に真っ赤になる日々が続くに決まってる。
瑞季さんは瑞季さんで、何を考えてるかよく分かんないし、けど、バカみたいにカッコイイし。
っていうか…この間、この人の腕に抱きしめられたんだよね…あたし。
なんて幸せなヤツなんだろう。あたしってば。


