出口家の次女。
お気付きの人も多いだろう。その通り。以前紹介した出口香奈の種違いの妹である。
彼女もまた、姉に負けないぐらいのポテンシャルを秘めている。2人とも母親に似てルックスだけは抜群なのだが、いかんせん、それ以外のほぼ全てが赤点なのだ…。「まだ小学生なんだから多めに見てやれよ」そんな声が聞こえてきそうだが、バカ言っちゃいけない。今の小学生(とりわけ都会の女子)の成長の早さをあなどるなかれ。パパの知らない所(例えば視聴覚室)で、とっくにB飛んでCしている。下手したら「D(ダイレクト)でEよ」とかのたまっているやもしれない。甘やかすとろくな事がない。だからこそ、彼女の為を思ってこそ、私はこの場を借りて彼女のありのままを語るのである。
7月の臨海学校での事である。本来であれば里奈のクラス(6年3組)は、初日の午後に海水浴を予定していた。しかし、担任の浜崎先生(通称:ハマちゃん)の独断により、急遽、釣りをする羽目になった。海水浴が雨のせいで中止になった事を考えると、この釣りという選択は無茶苦茶である。百歩譲っても屋内の釣り堀が妥当だろう。しかしもう遅い。全員分の雨ガッパは(午前中の段階で)既に手配済みなのだ。

「やだ~!私こんな気持ち悪いの持てない~!」
釣り餌(イソメ)を前に里奈は、地声よりも1オクターブ高めの声でぐずった。いつもの事である。放っておけない男子が沢山いるのを知っているのだ。とりわけサトシ。誰よりも早く里奈の釣り針にイソメを付け、誰よりも多くの辛酸を舐めてきた男。ここからはそんな彼にバトンタッチして、渚にまつわるエトセトラをとくと語ってもらう事としよう。


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