飲んべえ。『私ってば、アル中』の著者。
若かりし頃は、革命の名のもとに全共闘運動に明け暮れた彼女であったが、程なくして火炎瓶を普通のビール瓶に替えた。
希望に満ち満ちていたあの頃。本気でこの国を変えられると信じていた。ゲバラに憧れ、ベレー帽も被った。メガネのせいで手塚治虫にしか見えなかったのも事実だが、それでも彼女は一革命家として懸命に駆けずり回った。
しかしながら、物事はそううまくは運ばないものである…。学生運動が下火になると、今までのストイックな生活が嘘のように、見事なまでの体たらくに成り果てた。昼間から酒を浴びるほど飲んだ。再放送のテレビとか見だした。夜通し酒をつまみ無しで飲んだ。連ドラとか見だした。思想だの革命だの、マルクスだのレーニンだの、もうどうでもよくなった。終いには、あれだけ忌み嫌っていた体制側の人間(警察官)と結婚するにまで至った。
(これを機に彼女は今までの自分を反省し、改心する意味合いから、前述の自伝的小説の執筆を開始する。)
そして、夫の自慢の嫁になれるよう誠心誠意努力した。酒を断つ決心もした。
しかしながら、物事はそううまくは運ばないものである…。ぶり返した。小説を完成させたご褒美にと、酒を申し訳程度にチビチビやった。チビチビがガブガブに変わるまで、そう時間はかからなかった。(残念。というか無念。それでこそ知念。)
その後の彼女はと言うと、『禁酒→解禁→禁酒→解禁』の性懲りもないサイクルで現在まで至っている。並大抵の人間なら、とっくに肝臓をやられているところである。なのに彼女は屁のカッパ。「カッパのお皿に何を盛り付ければカッパは喜びますか?」という夫(オオギリーガー)の質問に対して、即答で「ルービー!」と答えるぐらいなのだから…。こいつはもう、カンパイである…。