ピアノの音色が好きだった。 ピアノを弾くお母さんが好きだった。 始めて鍵盤に触れたときの感動、 思うように弾けなくて泣きながら練習した曲、 一曲が完成したときの達成感、 お母さんが、友達が、 あたしを褒めてくれる。 “未来には才能があるわ” 嬉しかった。 純粋に、ピアノが好きだった。 大好きだった。