綺麗なフォーム。 どこで覚えたのか知らないけど、 小学生のときからテニスだけは上手かった。 ボールの打ち返される軽快な音を聞きながら、静かに目を閉じたあたしの頭に浮かぶ小さな疑問。 「――裕斗!こんなとこで何してたの?」 少しはなれたところにいる彼に、大きめな声で尋ねてみる。 彼のうち損ねたボールが、あたしの足元にころころと転がってきた。