「――かわい」 無意識にそう呟いたあたしは、そっと裕斗の真っ黒な前髪に手を伸ばす。 すると、突然目を開いた彼があたしの手をパシッと掴んだ。 「きゃあっ!」 驚いたあたしは、反射的に立ち上がってその手を振り払おうとするけれど、彼がそうさせてはくれない。 「…ミライ?なにしてんの?」 「な、何って…別にっ……」 あまりにも近い彼の顔と握られた手。 それらを意識しすぎて顔を真っ赤にするあたしを見て、裕斗がニヤッと笑う。