「アイツ、苦手なんだよね…最近なんて、まともに口も聞いてない」 裕斗は何も言わない。 でも、ちゃんと聞いてくれてるって分かる。 「仕事仕事って、めったに家にいないくせに… たまに帰ってきたと思ったら、勉強とか成績のことばっかりで――」 今まで誰にも打ち明けることなんてなかった、あたしの小さな不満。 言葉にすることなんてないと思ってたのに、口から出たそれは止めることなんて出来なかった。