「――で、お前は何があったワケ?」 急に真顔になった裕斗が、あたしを見る。 「別に…」 「嘘つけよ。何かあったから、帰りたくねえんだろ」 珍しく真剣な彼の瞳に射抜かれて、言葉が出てこない。 “誤魔化すな” そう言われているような気がした。 「――お父さん、帰ってきてるんだ」 コイツに話したって、何にもならない。 そう思っているはずなのに… あたしは気付くと口を開いていた。