「――テニス部、入んなかったの?」 妙な空気を保つ沈黙に耐えられなくなったあたしは、咄嗟に口を開く。 「あー…俺、部活自体まだ入ってねーわ」」 人事のような彼の言葉に驚きながらも、呆れたようなため息をつく。 「全員入部でしょ?先生とか何も言わないの?」 「何も言われてねーし、いいんじゃね? なんか、先輩とかイロイロめんどくせーし」 「テニスだけは上手いのに、もったいないよ」 「うっせ」 なんでもないように笑ってみせる裕斗。 その笑顔を見ると、なんとなくつられてしまう。