聞き覚えのある声に驚いたあたしは、勢いよく顔を上げる。 「―うわっ」 その拍子にバランスを崩したであろうあたしの視界。 ぐるっと一気に反転した。 前回り… いや、後ろ回りか。 あまりに低い鉄棒でそれをしたことによって 危うく地面に頭を打ち付けるところだったけど、 ギリギリ、髪が擦れただけだった。 「あははははっ。何そんな驚いてんの」 なんとか上手く着地したあたしが髪についた砂を掃う姿を見て、 お腹を抱えて笑っているその人物。