仮にも、好きな人との会話。 自分の冷めっぷりに、ある意味感心してしまう。 感情を表に出さないことは、あたしの得意分野だ。 「そーだ。お前、ケータイ持ってんだろ?」 「持ってるけど?」 裕斗の問いかけに、 ブレザーのポケットから携帯を取り出してみせる。 高校に合格してずぐに買い換えた、真新しい、白い携帯。 「アド送って」 「…は?」 何を今さら、と思いながらも 自分の携帯を取り出した彼に「早く」と急かされて、 赤外線でアドレスと番号を送る。