「大丈夫ですかレインさま!?」


「あぁ、大丈夫ですフィーノ」

レインはすっと王子の顔に戻って言った。

アクアに殴られたところは赤くなっている。


「アクアもあんな癇癪持ちじゃなかったんです。ああなったのは12のとき―」

「わかってますよ、フィーノ」

レインはフィーノをさえぎるように言葉をかぶせた。

フィーノははっとなって頭を下げる。


「すみません、レイン様は重々承知のことなのに」

レインは穏やかに笑った。

「いいんですよ。それよりアクアが心配です。探してきましょう」



そう言って去ってゆくレインを物憂げな目でフィーノが見つめていたことを、レインは知る由もなかった。