でも赤くなったのは恥ずかしさからだけではない。

アクアは怒りを込め、王子を睨み付ける。


「なによっ!!じゃあ私のどこが好きなのか言ってみなさいよ!!!!」



すると王子は妖艶に笑って言った。


「そりゃアクアのその王族しか持ちえないはずの美しさに決まってんだろ」






びった――――――ん!!!!!!



アクアが王子の頬を殴り付ける音が海底中に響いた。

近くにいた姉はもちろん、周りで漂っていた人魚も何事かと目をみはる。


「そうやっていつもいつも……!!私は外の世界に行きたいの!!人間になりたいの!!こんな姿いらないの!!!!だいたい外の世界に出れないのはあんた達王族のせいじゃない!!!!」


アクアは力いっぱい王子をおしこくると、どこかへ泳いでいってしまった。



「いってぇ―……」


つぶやく王子に慌てて姉が近寄った。