結局、あの後もかわらず東島くんはこっちを見てくれなかった。

目が合ったのは最初にみた泣いている東島くんとだけ。

「はぁ。なんだかなぁ…」

「ため息なんかついてどうした?」

 ふと漏れてしまったため息と言葉。
それに前の席の結菜が振り向く。
 その顔はなぜかニヤニヤと笑っていたけど。

「恋しちゃったんじゃないの〜?」

「…そんなわけないよ」

「そう?」

 ニヤニヤと笑いながら結菜は前を向いてしまう。

恋なんてしてるのかな〜。

してたとしたら、誰に?

「いや、ちがうよね」

 何度目か分からないため息をついて、黒板に書かれた文字を板書していった。