吸い込まれそうな大きな瞳に、言葉が詰まる。



「あ……いや、
特に用はない。起こして悪い」



「別にいいよ。暇だから寝てただけし」



んーっと伸びをした少女が言った。



「部活少年の矢部くんがこんな朝早くいるなんて珍しいね」



「今日朝練ないからな」


その言葉を聞いた瞬間、彼女の動きが停止した気がした。



切ないような、
怒りたいような、複雑な表情。



「そうなんだ」



偽物のような笑顔をした。



始めてみた。



上加茂星羅の笑顔。



嘘っぽいけど、
こんなにも柔らかく笑うんだ、こいつ。