甘えよっかなぁ?」

奈央は、顔をプイプイ振る。

「甘えさせてよ…ママ、パパの事好きよ?」

母は父に甘えて、

「ねぇ、ママに愛してるって言って?」

父は、

「…こんな所では言えないよ…。息子と里菜ちゃんと奈央もいる。」
「だってさ、奈央があまりにもナオキさんになつかないから。好きな人に子供がなつかないなんて妻としてつらいわ。」
「後でね。沢山言ってあげる。」

優しく母の髪を撫でる父。

「結局ラブラブな所を見せ付けられたな。」

和也は里菜に、

「引きましたか?うちの親はあの年して相変わらずラブラブですよ。」

里菜は、

「何年経っても愛せる事は大切だよ。うらやましいな。」
「里菜、部屋に行こうか。二人と奈央でいさせよう。そうしたら父も愛の言葉を囁けるでしょう?」
「はい。」



和也と里菜は部屋へ。父は母を抱いて、

「愛してる、あさみ。」
「ナオキさん…。」
「愛してる、愛してる、愛してる。」

母は幸せなカオをして、

「私もです。」

父は母にキスをする。

「何度も迷惑をかけてきた。助けてやれなくて、でも、ずっと付いて来てくれた。こんないい女はいないよ。和也に、悠太に、奈央に、いい母親でいてくれる。これからもずっといい母親であり、最高な妻でいて欲しい。」
「はい。」

奈央は父と母をじろじろ見ている。父は、

「奈央、おいで。」

奈央は戸惑うが、父の所へ。父は奈央を抱く。



里菜は一人暮しのマンションへ戻る。
次の日、里菜は出勤する。決意を持って。

「あ、あの…来月末に辞めさせて下さい。」

課長に申し出る。課長は、噂で里菜が振られたと聞いていたので、落ち込んでいると思い、

「大丈夫なのか?そこまでしなくてもいいのに。」
「花嫁修業しないといけないのです。休んでいて、地元に戻っていた間に芽生えたキモチです。私は彼と生きていこうと決意しました。」
「え、キミは…。」
「過去は振り返らないようにしています。彼は落ち込んでいた私を励ましてくれました。突然のプロポーズで、驚いたのですが、彼の固い意志に惹かれました。」
「どんな人なんだ?」
「彼は幼なじみです。優しくて、意志の強い人で。頼りになる人です。」