Secret Prince

今日一日の感じだと、一番怪しいのは、雨宮先輩だった。
彼の醸し出す雰囲気が、とても不思議な匂いがした。
本当に、……実際に匂いがしたわけじゃないけど、
……俺の盗みの直感が教えてくれた。
だけど、他にも何やら怪しい匂いがするのは気のせいだろうか。
















「……そっか。
 ま、仕方ないよ、……だって、手掛かりが少なすぎるんだもん。
 ビオラも大変だよね、……俺みたいに、大々的に挑戦状叩きつけたりするくらい、
 有名な宝石とかじゃないからな。
 そして、潜入+奪取の、二段構えだからな。
 まぁ、裏方だが、なかなか重大な仕事だから、
 ……だからといって、そんなに気負うなよ?
 ビオラなりのやり方で、ゆっくり核心へと近づいていけば良いんだよ。
 まぁ、ターゲットが明確なら、それとコンタクトを取るのが一番手っ取り早い、とは
 思うけど、そんな至宝を持つ者なら、なかなか上手くはいかないだろうから。
 ……けど、ビオラには、まだ時間がある。
 急いては事を仕損じる、って言葉、・・・忘れないでね?」




確かに、ほぼ手がかりが皆無の状態だから、
良くて1年、悪ければ偵察しか出来ないかもしれない。
だが、総統の信頼を裏切るような事はしたくない。
まだ幼かった俺を拾い、教育を施してくれた、
厳しいが、普段は穏やかで、リーダーらしい雰囲気も、それから聡明さも持ち合わせた、彼の期待に沿いたい。
まぁ、俺の片割れは、あんまり宜しくしたくないみたいなんだけどな。