ビオラ、……それが、その世界で生きるために、俺につけられた名前。
言ってみれば、コードネームみたいなものだ。
俺が、この世界に、……Appleに入った時に、総統が直々に俺にくれた名前。




「お前は、ビオラだ。
 これからは、そう名乗れ。」



まぁ、こんな感じに言われてからは、仕事に関係した人間には、
そう名乗るようにしている。
それにしても、コードネームの由来は、相変わらずまるで掴めないけど。
何せ、会った瞬間に言われたからな。
間髪入れる間もなく、真っ直ぐに見据えられて。






































この世界だとか、焦らしたような言い方をしているが、
要するに、俺がやってる事は、盗みだ。
俗に言う、怪盗稼業という代物だ。
まぁ、他にも、拷問や情報収集、今やっているような潜入調査もするけどな。
で、宝石を盗んだからといって、特に、それを使って、何か贅沢をするわけではない。
少なくとも、俺達のチームの中に、そんな人間はいない。













俺達のチームには、親に捨てられた者、虐待を受けて耐え切れずに逃げた者、
その他、諸々の事情で、生活が困難になった者達が集まっている。
皆、自分の獲物は自分で盗み、時には協力して、獲物を確保する。
総統は、厳しい人間だが、聡明で慈愛も兼ね備えている。
簡単に言うと、出来た人間だ。
まぁ、どっちかって言うと、かなり捻くれている人だけど、
……俺は、この人に命を救われたんだから、少なからず感謝はしている。