「んー、何て言えば良いものか……。
 今まで俺が住んでた世界とは、まるで違う感じ、か?
 ……上手く言えないけど、そんな感じなんだよなぁ。
 暗くて冷たくて陰鬱な毎日が、たった1日で、嘘みたいに、
 ……まるで、全てが悪いユメだったみたいに、キラキラ輝き出すんだ。
 ……なぁ、ミーシャ、……俺は、……どうしたら良いと思う?」

















途切れ途切れに、俺は、言葉を紡いでいく。
悠里のあどけない笑顔も、雅先輩の、人間らしくて貪欲な、……それでいて、
今にも消えてしまいそうな微笑みも、夏川先輩の優しげな表情も。
全部全部、俺の心に焼きついて、……理由は、ずっと、俺が欲しかったものだから。




















「……そっか。
 じゃあ、この潜入調査で、ビオラは変わっていくのかもしれないね?
 俺が想像する限りは、……勿論良い意味で、ね?
 ふふ、陰ながら見守らせてもらうよ。
 ……ビオラの声聴いてると、何か、気持ちが落ち着くよ。
 こんな職業だからかな、……ふふ、俺も変わっていくべき時が、
 いつかは来るのかもしれないけどね。」





先程とは違い、どこか、儚げな声色で。
変わっていくべき時、か。
俺は、もう十分すぎるくらいに汚れているけど、ミーシャは、きっと変われるさ。
きっと、気付いていないだけで、まだ間に合うんだ。
俺は、静かに、そう思った。

















俺は、どこへ向かっていくのだろう。
これから、何をしていけば良いのだろう。
変わる必要はあるのだろうか。
惰性に任せても良い時期は、もう終わったのだろうか。
淡々と仕事をこなすのも一興だが、他の興も見つけるべきなのだろうか。