「はぁ、…………。」




思わず、盛大に、溜息までついてしまった。
雅先輩は、クスクスと面白そうに笑っていたが、……あの雰囲気は駄目だろう。
















「もしかしたら、俺、誰かの背中流すの、初めてかもしれません。」



だって、こんなにも、ぎこちない手つきだから。
それでも、何も言わずに従っていてくれた雅先輩は、
聖母様並みの優しさを持ってるんじゃないかと思う。
…………腹は黒そうだけどね、毒まで吐くし、……だから、そこは、
意地でも撤回してあげない。











「ふふ、そうなんだ。
 これから、……ここでなら、さんざん流す事になるだろうけど、
 一歩リード、だね?」




そう言って、雅先輩は、悪戯っぽく笑った。
それもだよ、その、小悪魔全開な魔性の微笑みも。