「…………やっぱり、君は面白い子だね。」
不意に、雅先輩が呟いた。
表情は、怒っているわけでもなく、呆れているわけでもなく、悔しそうでもなく、
どこか、穏やかだった。
こんな失礼な事を言ったのに、何故怒らないのか、俺には不思議でしょうがなかった。
「…………怒らない、……んですか?」
思わず、俺は聞いていた。
怒号の一つでも盛大に喰らうとばかり思っていたから、拍子抜けしたのかもしれない。
「ふふ、僕に怒る理由があるとでも思ったの?
僕は、自分の過去を認めてるわけでも、否定したいわけでもない。
僕には、今、この時が大事だからね。
過去は、そう簡単に捨てられるものじゃない。
かと言って、僕は、自分の過去があまり好きではない。
言ってみれば、ただ昔にあっただけ、……それだけの過去だからね。
それに、……うーん……。」
雅先輩は、そこまで言って、不意に口を噤んだ。
俺は、考えている素振りを見せていたから、黙って続きを待った。
「君を見てると、何だか、一瞬だけでも、自分の過去を忘れられる気がするんだ。
動揺させられたり、驚いたりして、その間だけでも、僕は、
自分の過去から逃げられるから、かな。
重度の過去逃避だ、って、……そう蔑んでくれたって良い。
ただ、君にだけなら心を開けそうだから、僕の事を、……うわべだけでも良いから、
認めてほしいんだ。」
そう言って、雅先輩は、自嘲的な、どこか哀しげな笑みを浮かべた。
不意に、雅先輩が呟いた。
表情は、怒っているわけでもなく、呆れているわけでもなく、悔しそうでもなく、
どこか、穏やかだった。
こんな失礼な事を言ったのに、何故怒らないのか、俺には不思議でしょうがなかった。
「…………怒らない、……んですか?」
思わず、俺は聞いていた。
怒号の一つでも盛大に喰らうとばかり思っていたから、拍子抜けしたのかもしれない。
「ふふ、僕に怒る理由があるとでも思ったの?
僕は、自分の過去を認めてるわけでも、否定したいわけでもない。
僕には、今、この時が大事だからね。
過去は、そう簡単に捨てられるものじゃない。
かと言って、僕は、自分の過去があまり好きではない。
言ってみれば、ただ昔にあっただけ、……それだけの過去だからね。
それに、……うーん……。」
雅先輩は、そこまで言って、不意に口を噤んだ。
俺は、考えている素振りを見せていたから、黙って続きを待った。
「君を見てると、何だか、一瞬だけでも、自分の過去を忘れられる気がするんだ。
動揺させられたり、驚いたりして、その間だけでも、僕は、
自分の過去から逃げられるから、かな。
重度の過去逃避だ、って、……そう蔑んでくれたって良い。
ただ、君にだけなら心を開けそうだから、僕の事を、……うわべだけでも良いから、
認めてほしいんだ。」
そう言って、雅先輩は、自嘲的な、どこか哀しげな笑みを浮かべた。


