「悠里…………。」



やけに色っぽい声が、風呂場に響いた。
綺麗で妖艶な、その声は、聞いた全員を魅了した。
そして、その声の主は、悠里の肩を抱き、柔らかく微笑みながら、
額、目元、頬、と、順にキスの雨を降らしていく。
藍斗の姿、そして、耳まで真っ赤に染めた悠里の姿を、一同は、固唾を呑んで
見守っていた。





















「藍斗、いつの間に、あんな仲良くなったんだろう……。
 僕、……ちょっと、……いや、かなり嫉妬しちゃうかも……。」


「そうですね……。
 俺は、嫉妬はしませんけど。」


「僕は、気付いていたけどね。
 寮に入った瞬間、2階に、……二人分の気配を感じたから。」


「俺も、何だかんだで、途中から聞いていたりしたが。
 まぁ、起きて、アイツの部屋に運ばれたと気付いた時には、
 卒倒するかと思ったけどな。」


「ふふ、あの二人、今度描いてみたいな。
 ……何だか、良い絵が描けそう。」






一日目とはいえ、それぞれが、思う所がある。
興味を持ち、知りたいと思う。
そして、その、美しく飾られた、煽情的な風景を否定する者も、
誰一人としていなかった。
これが、男子校の病であり、同時に、素晴らしい事でもある。