「もう、あんまり見られたら、恥ずかしいですよ。
 さっさと行きますよ、ねぇ。
 見惚れていたら、……そのうち、風邪引きますよ?」


俺は、半ば自棄になりかけていた。
やっぱ、ここには、野獣が住んでるんだ。
凶悪なまでに美形で、そのくせ、無駄に飢えている。
身体だけの関係は嫌いじゃない、……それが、自分にとって、利益になるのなら。
だけど、……使われるだけってのは、真っ平御免だ。















「悠里、行こうよ。
 もう、……あんな野獣共は置いといて、俺と一緒に入ろう?」


「あっ、……う、うん……。」



俺は、残りの奴らを置いて、悠里と一緒に、風呂場へと入った。
もくもくと湯気が立ち込める中、俺達は、檜風呂に入った。
檜の仄かな香りが、鼻に心地良い。










「ここの風呂、良いな。
 他の所が、どんなのかは知らないけど。」


「……ん、そうだね。
 僕も、気に入ってるんだ。
 ちなみに、他の寮はね、この寮みたいなのとは違って、
 ここよりもう少し広い大浴場があるんだけど、……でも、それ以上に人が多いから、
 大抵の子は、部屋に備え付けてあるお風呂で済ませるみたい。」